2014年10月12日日曜日

地元「ゆかり」を大切にする神戸の美術館

生まれて初めて神戸を訪れた。日本を出て30年近い私には、日本国内で行ったことがない土地がたくさんある。

職業柄、どこに行っても、つい美術館やギャラリーに目がいく。宿泊した六甲アイランドに美術館が3つあった。「神戸ゆかりの美術館」、「神戸ファッション美術館」、それに、「神戸市立小磯記念美術館」だ。

神戸ファッション美術館はあいにく休館だったが、神戸ゆかりの美術館と神戸市立小磯美術館には行ってみた。

神戸ゆかりの美術館の企画展示は「エトランゼの旅物語」。海外を訪れた神戸及びその近郊ゆかりのアーチストの作品展である。



第2次世界大戦以前の作品は質に大きなムラがあった。仕方ないかもしれない。ヨーロッパに行くこと自体が大変だったのだから。「行くことに意義がある」時代だったのだろう。

神戸市立小磯記念美術館は、神戸生まれの洋画家小磯良平(1903-1988)の作品約2500点を収集・展示する「全国有数の個人記念美術館」。12月23日まで、「小磯良平作品選III -油彩-」と特別展「生誕120年 川西英回顧展」を開催中。


小磯記念美術館外観

小磯良平がフランスに遊学したのは1928年。小磯記念美術館のウェブサイトによると、「絵画技法の習得よりも、各地の美術館をめぐり、アングル、コロー、クールベ、マネ、ドガなどの巨匠達の作品を鑑賞することに熱心」だったとか。印象派、特にセザンヌっぽい作品やキュービズムの影響を受けた作品など、小磯の画風は遊学時代を反映している。難なくまとめた当たり障りがないものが大半だったが、伸びやかな絵筆には学ぶところがある。

小磯良平「婦人像」。もっと好きな作品があったのですが、写真撮影禁止だったので。

川西英(1894-1965)は神戸生まれの版画家・画家。私が一番素敵と思ったのは展示作品の殆どを占める木版画ではなく、初期の描画だった。

川西英の木版画「曲馬

神戸には「横尾忠則現代美術館」もある。横尾氏は兵庫県西脇市出身とのこと。

JR灘駅で降り、駅前の地図を見ていたら、青いプラスチックのカゴに果物を入れた若者に声をかけられた。名札に「研修生」とある。最近脱サラし農場に勤め始めたとかで、産地直売の果物を売っているとのこと。和歌山産のミニみかんを一袋買った。大学生のような幼い顔と一途さ。頑張ってくださいね~。

横尾忠則現代美術館のレストランは「ぱんだ かふぇ」。この他にもパンダを題材にしたお店をよく目にした。「神戸市立王子動物園」にパンダがいるため、ということだった。



横尾忠則現代美術館では入口で何かイベントをやっている。関係者全員がスーツ姿。椅子が並べられ、スピーチ進行中。なんだか入りづらい。ふと見ると、隣は「原田の森ギャラリー」。「兵庫県立美術館王子別館」とのこと。絵画展「第19回 二元会兵庫支部展」と「陶穂会 創作陶芸展」をやっていたので入ってみた。

絵画展に並ぶ絵を見ていると、作家の姿が浮かんでくる。この人は「退職して暇だから、絵でもやってみるか」のクチかな、とか、30年くらい絵を描いているプロ、半プロかな、とか。このアーチストは美大出身かなあ。(勝手な想像です。違ったらゴメンナサイ。)

塚本文子「私のものだと思っていたのに」

陶芸展は実用的なお皿や花瓶だけでなく、可愛いものもいっぱいあった。(作家の方々、ごめんなさい。作家名、作品名を写真に撮るのを忘れました。)



アートを志す地元民に発表の場があるのは素晴らしい。

2泊という短い滞在期間、それも人に会うことが目的だったため、訪れることが出来なかった美術館、博物館がまだまだある。神戸よ、いつの日かきっと戻って来るからね~。

【関連ウェブサイト】
神戸ゆかりの美術館
神戸ファッション美術館
神戸市立小磯記念美術館
横尾忠則現代美術館
兵庫県立美術館
原田の森ギャラリー
白鶴美術館
香雪美術館
神戸北野美術館

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